Episode02Living in chaos

葛藤や絶望を経て第2子誕生

頭が
真っ白に

「どうしよう...」

2012年のコーアクティブ・リーダーシップ・プログラム®のオーディションの結果は、めでたく合格することができました。その後アメリカでのトレーニングを経て、日本でこのプログラムのリードをすることになりました。このプログラムはコーリードと呼ばれる形式で二人のリーダーが力を合わせ、10ヶ月続くプログラムのガイド役となります。いよいよデビューするタイミングとコーリーダーが決まり、参加者の募集も始まり、準備も着々と進めていきました。

ところが、そんな中、妊娠したことがわかりました。私自身は子供は長男1人にしようと思っていたわけではなかったので、嬉しくないわけではありませんが、如何せん、デビューを控え、参加者の人にも私がリードすることも公開していたので、このことがわかった時、頭が真っ白になりました。

「どうしよう・・・。」どうしようと悩んでいても、妊娠は進んでいきます。このプログラムを提供しているチームの仲間にはとにかく早く知らせないといけません。思い切ってこのことを伝えました。仲間はかなり驚き、困惑したものの、私の妊娠を受け止め、祝福をしてくれました。その後、海外にもヘルプを出し、私の代わりをしてくれるリーダーも決まり、そのことも参加者に伝えることができたのです。

人が
生まれて
くる尊さ

夢が絶たれ、絶望的な気持ちに

ところが、数週間経った時、不正出血があり、病院へ行ったところ、流産してしまっていることがわかりました。病院の先生からは、早期の流産はお母さんのせいではなく、染色体の異常によるものだから、気にしない方がいいと言われました。しかし、そうは言っても、妊娠がわかった時に、私はすっかり夢をみてしまったのです。最初の子供のように、きっともう一人子供が生まれてくる、と。そしてその夢が絶たれてしまい、絶望的な気持ちになりました。このことを思ったり、話をすると、なぜか涙が出て止まらない。

仕事の仲間にもこのことを共有しないといけません。しかも妊娠したことによって、予定していた仕事を代わってもらったのにもかかわらず、流産してしまったことを。この数ヶ月で何度も人生や仕事の予定がひっくり返り、夢が絶たれたことに、いわれのない申し訳なさも感じていました。

このことを仲間や周囲に共有すると、「実は私も流産の経験があるの」というメッセージを何人もの人からいただきました。奥さんにそのような経験があるという話をしてくれた人もいました。語られはしない、表には出てこないとしても、流産はかなりの確率で起きている。この事実を私は知りませんでした。そして、人が生まれてくることの貴重さ、そして大きさを知ったのです。

人生の目的

流産によって変容したもの

私が行っているコーアクティブ・コーチング®では、ライフパーパス(人生の目的)というコンセプトがあります。それは、他でもないこの人、ここまでこの人生を歩んできたこの人が願っていることを、世の中がその人に託した役割と重ね合わせ、その質感を比喩にして表現したものです。

私がコーアクティブ・コーチングやリーダーシップを学んでいる時に創った人生の目的は「古い常識をぶち壊し、人が力を取り戻す維新の弁士」というものでした。

それがこの一連の流産に関わるエピソードから変容しました。「絶望を希望に変える、コーアクティブの胎児を宿した邪馬台国の卑弥呼」が、いまの人生の目的です。

それは、自分自身が経験した絶望の中に、命の貴重さを見出し、希望につなげることができたことがきっかけでした。そして、同じような境遇にいる人がいるとしたら、その人にも絶望の中に希望を見出してほしいと願う気持ちがあることにも気づいたのでした。

妊娠により
二転三転
する仕事

絶望を希望に変える

2013年、この流産に関わるエピソードが落ち着いた後、再度デビューに向けて動き出した時、再び妊娠がわかります。心待ちにしてきた仕事が妊娠によって二転三転する、そして前回と同様に周囲に迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちになりました。でも、命には代えられません。私もこの時には38歳になっていたので、妊娠する可能性、五体満足に出産できる可能性を考えると、この機会を大切にしないという選択はないのです。

ただ、独立以降、人に迷惑をかけずベストを尽くすという仕事のポリシーを貫いてきたので、この数年に妊娠や流産が理由とはいえ、大きな仕事の約束をひっくり返し、迷惑をかけているという事態にいたたまれない自分がいたのも事実でした。

その後、2014年に無事に二男を出産します。1年後、子供が1歳3ヶ月を迎えた月に、待ちに待ったこのプログラムのリーダーとしてデビューしました。2012年のオーディションから3年。自分一人ではままならない、やるせない申し訳ない思いもたくさんしました。ただ、その経験こそが、「絶望を希望に変える」という私の人生の目的につながってます。そしてその経験こそが、この物語を文章にしている自分を創りあげています。

カオスから
新しい
未来を作る

本当の気持ちを話し、
願っていることに気づいて行動する

このエピソードでは、私のマタニティリープの瞬間は、居心地の悪い妊娠の発覚と仕事との間での葛藤、流産の絶望から人生の目的に新たな意味を見いだしたところにあると感じています。Episode01では大きなチャレンジに飛び込むというマタニティリープの瞬間について述べましたが、Episode02では居心地の悪さや葛藤というぐちゃぐちゃなカオスの中に、新しい息吹が生まれるという質感の違うリープがあります。

混沌、カオスの中には願っている未来を創り出していくのに必要なことは全て存在しています。マタニティリープ・コーチングやマタニティリープ・ワークショップで私が目指していることは、このカオスの中から新しい未来を作り出すための場を提供していくことです。タイミングよくリープするために必要なことは、自分の本当の気持ちを話し、願っていることに気づいて行動することです。このタイミングや流れこそが、リープに向かうポイントなのです。

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第1子誕生と
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初めての出産から1年、にっちもさっちもいかない状況から正気の沙汰ではない選択

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