Episode03Wind for leap

第3子誕生と2つの法則

なんとも
言えない
気持ち

妊娠している自分、
仕事を大切にしている自分

2018年9月、第3子の長女を出産しました。そこから遡ること1年半、私はデビュー後3回目となるコーアクティブ・リーダーシップ・プログラム®のリードに向けて、準備をしていました。そのある週末のことを今もよく覚えています。この週末までにプログラムに関する大事な意思決定をチームですることになっていました。ところが、その週に入り、私は自分が妊娠しているんじゃないかという予感がして、大事な意思決定の前に病院に行って、確認することにしました。

病院に行ってみると、実際に妊娠していることがわかりました。ここまで何度も経験してきた、「どうしよう・・・」というなんとも言えない気持ちになったことを覚えています。そして、過去にもこのタイミングで妊娠を仲間に共有した直後に、流産したこともあったので、その気持ちはさらに複雑でした。この時、私は41歳。妊娠する確率も低く、そして流産の確率も前回以上に高いということも知っていました。

私は病院に行ったその足で近くのスタバに行き、仕事仲間にメールをしました。妊娠をしたこと、そして次回のプログラムのリードができないこと。そしてそのことで起きてくることにどう対応したらいいかという内容だったと思います。妊娠している自分、仕事を大事にしている自分、心の足場が揺れる中、このメールを書いて、やり取りをした記憶があります。その結果、仕事の仲間に支えられ、このプログラムのリードについては、私がリードしなくても大丈夫な体制を作ることができました。

無事に
第三子を
出産

出産にまつわるテクノロジーも活用

ここから数ヶ月は妊娠している事実は夫以外の家族には告げず、自分の中だけに止めることにしました。それは、前回の流産の時に、他の家族にずいぶん心配をかけたからです。心配をかけるとともに、このことを伝えたら、きっと家族ももう一人子供が生まれてくることを夢見ると思ったことも、このことをしばらく自分のうちにとどめる理由でした。

無事、妊娠が安定して、家族にもこのことを打ち明けましたが、今度は高齢による流産とダウン症などの先天性の疾患の懸念がありました。4年ごとに出産をしていると、出産にまつわるテクノロジーも日進月歩で進化しています。母親の血液の遺伝子情報から生まれてくる赤ちゃんのダウン症といった先天性疾患がわかる新型の出生前診断も受けることが可能になっていましたし、再生医療に活用できる臍帯血の保管も可能となっていました。そこで出生前診断も受け、臍帯血バンクも活用することにしました。

ここまでは第3子を出産するまでの物語ですが、今回のメインストーリーはここからです。さすがに8歳、4歳、赤ちゃんの3人を抱え、フルに仕事に復帰し、リーダーシップ・プログラムのような長期の出張を伴う仕事はあと2、3年はできないんじゃないかと思っていました。出産後は出張を控え、家でできる仕事を中心に復帰しました。4月には第3子も保育園に入ることができたので、少しずつ仕事のできる環境は整っていました。

眠れない夜

「こんな機会はもう二度とない」という直感

その矢先、2019年7月、再びアメリカから1通のメールを受け取ります。9月からスタートするアメリカでのリーダーシップ・プログラムのリーダーの一人がリードができなくなり、すぐにリーダーを見つけたいというメールでした。スタートまで2ヶ月を切って、世界中を探しても、フルでリードできる人はいませんでした。私もリードできる人はきっと半ば育休中の私ぐらいしかいないだろうことは、わかっていました。一緒にリードする相手は、私が2006年にこのプログラムを受講したときのリーダーの一人、そしてコーアクティブ・コーチングとリーダーシップを提供しているCTIの創設者の一人である、ヘンリー・キムジーハウスでした。ヘンリーとリードできる機会なんてもう二度とないという直感もありました。

私はこのメールを夜受け取ったのですが、ドキドキしたような外からドアをノックされているような感覚を感じたのを覚えています。メールを見たときの鼓動がサインでした。大事な決断や直感を感じた時には、眠れなくなるというのはこれまでの経験から分かっていることで、今回もそのメールを読んでから、そのことが頭から離れず、その日はほとんど眠ることができませんでした。

翌日、そのメールに返事を書きました。私は英語が流暢ではないので、英語の能力が問題ないリーダーがリードできるなら、そのほうがいいと思う。もし誰もリードする人がいなかったら、家族と相談して私がリードしますという内容でした。

考え
られない
チャレンジ

家族に応援してもらい、可能になった出張

8歳、4歳の男の子、そして1歳にならない赤ちゃんを日本に置いて、10日間もの間、日本を離れる出張。2、3日の出張でもはばかれていたので、とんでもないリープです。その週末、親戚家族が集まった夕食の時に私が切り出しました。

「一つ、相談があるんだけど。。。」

家族の反応は、「まさか、4人目!?」という反応でした。これはこれでおかしいエピソードですが、その後、海外でまたとない仕事の機会があり、それにチャレンジしたいのだが、協力してもらえないかという話をしました。妹が「相談してるってことは、ゆきちゃん、もう決めているんだよね」と言ったことを覚えています。乳飲み子含む3人の子供がいて、普通に考えたら、考えられないチャレンジです。それを家族全体に応援してもらえて、この出張が可能となりました。ありがたいことです。2019年9月から3ヶ月ごとに10日ほどの出張を全部で4回することになりました。

追い風も
逆風も
活かす

命の息吹につながる2つの法則

マタニティ期に限定するものではないと思いますが、常に私たちは風を受けて日々の生活を送っています。時に、それは追い風の時もあれば、逆風のような時もあります。その風を受け、その風がどんな方向であったとしても、それを自分の命の息吹につながる方向に活かしていくには、たった2つの法則しかないと私は思っています。

1つ目は、自分の思っていることを話し、聞いてもらうこと。そして2つ目はそこから新しいアクションを創っていくことです。とてもシンプルなことですが、現代の生活環境やスタイルでは難しいことなのです。私はここまで3回のマタニティリープのエピソードを書かせてもらいましたが、幸運にもこの2つの法則を味方につけることができました。そして、皆さんにもお伝えしたいことは、この2つのことを知って、取り組んでいただければ、リープすることができるということなのです。

ここまで、3つのマタニティリープのエピソードを読んでいただいてありがとうございます。ご自身のマタニティリープ、それから身近な方のリープの一助となれば幸いです。応援の気持ちを送るとともに、お一人お一人のリープが大きな流れとなり、マタニティ期が誰にとっても飛躍の契機になることがあたりまえになることを願っています。

マタニティリープ主宰 渡辺 有貴

Heroine's journey

第1子誕生と
リープの瞬間

初めての出産から1年、にっちもさっちもいかない状況から正気の沙汰ではない選択

Living in chaos

葛藤や絶望を経て
第2子誕生

絶望を希望に変える、ぐちゃぐちゃなカオスの中から新しい息吹が生まれる

Wind for leap

第3子誕生と
2つの法則

8歳、4歳の男の子、1歳にならない赤ちゃんを日本に置いて、10日間も日本を離れる出張